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【第4弾スタッフブログ】音響監督・飯田里樹さんからのブログが到着! ※ネタバレ注意
結城友奈は勇者である OFFICIAL
結城友奈は勇者である OFFICIAL

以下、「大満開の章」4話までのネタバレを含みます。

 


音響監督の飯田です。「結城友奈は勇者である」シリーズとも長い付き合いになってまいりました。思えば第一期のころは樹役の黒沢ともよさんは高校生でしたね。ご立派になられました。また、当時、私の妻が介護福祉士だったので東郷のバリアフリー描写について妻に意見をもらったりしていました。懐かしい思い出です。

 

さて、「大満開の章」も第4話が放送されました。「勇者の章」の第2話で東郷がブラックホールになるまでに大赦が裏で何をしていたのか、その顛末が描かれた内容です。防人たちは命がけで作戦に臨んでいるのに全く報われず、しかも友奈たち勇者には存在すら知られていません。不憫です。

 

実は「楠芽吹は勇者である」のキャラクターの音声を最初に収録したのは2018年に発売されたドラマCDでした。その際もアニメと同じキャストと音響スタッフが担当させていただいたので、満を持してのアニメ化といった思いも強いです。


アニメの収録が始まって、まず、防人のキャストの皆様には「防人は弱い。星屑も脅威。バーテックスが現れたら逃げるしかない」という話をしました。なので、基本パニック映画のような演出をしています。名前もないモブの防人たちが怯え、逃げ惑い、泣き叫ぶというのを大事にしています。


あと、本作から巫女という存在がピックアップされています。……これが本当に大変でした。作中の祝詞の文言はごく一部を除いて、この作品のために書き下ろされた大赦仕様のオリジナルなんです。つまり、喋り方のお手本がない。実在する祝詞の音声などを参考に役者さんに演じていただくのですが、キャストは若い女性の方が多いので、なかなか祝詞に馴染みがなく難しかったです。しかも複数人で合わせて祝詞を上げるシーンもあり、そろえるのには一苦労しました。


苦労といえば、防人の装備の音も苦心しました。神樹様の力を借りている勇者たちに比べて、防人の装備はどこか人工的であるというのを表現するために、音響効果の奥田維城さんにギミックを意識して音を作っていただいています。わかりやすいところでいうと防人の銃は撃つと薬莢を排出します。弾が切れるとリロードも必要です。画面に映っていないところでも排莢の音を入れたりと、彼女たちらしさを音でも表現しています。

 

そして、第4話で最も注目する点は銀の登場です。これには驚かされた視聴者も多いのではないでしょうか。思えば第1話で、東郷が銀のお墓参りに行けていない話をしていました。「大満開の章」は「鷲尾須美の章」も内包した「これまでの、これからの物語」だということがわかります。


また、「結城友奈は勇者である」シリーズのテーマの一つは根性論ですが、銀が須美にかける言葉もまた根性論でした。理屈や効率ももちろん大切ですが、人が動くときの燃料となる「想いの強さ」、成し遂げるために諦めない「根性」が彼女たちのパワーです。世界の理なんてぶっ壊せる。銀の言葉が須美の胸に刺さります。

 

さて、「結城友奈は勇者である」はシリーズとして、いろいろな広がりを見せてきました。そして、その集大成となるであろう「大満開の章」で一体何が描かれるのでしょうか。ぜひ、今後の展開にもご期待いただけますと幸いです。